空白の1年半と沈黙の理由
1年半前に頻繁に会っており、お泊り調教まで共にした松下奈〇を彷彿とさせる彼女は、ある日を境にぷっつりと音信不通になった。間が空き、1年半ぶりにメールが届いた。
届いた連絡で明かされたその理由は、意外なものだった。「楽しすぎて、自分が壊れてしまいそうで怖かった」 非日常の快楽にどっぷりと浸かり、日常の自分との境界線が曖昧になっていく。その危うさを感じた彼女は、あえて連絡を断っていたという。
自分の都合で音信不通になってしまった罪悪感が、彼女なりにあったようだ。これまでの近況報告も含め最後に会うこととなった。
最後の調教
彼氏の存在を隠さず伝えてきたのは、すでにソフトSMのような「非日常」で生きていないからなのだろう。今は、まっとな日常があるからこそ、最後に「非日常」を再体験したい。
皮肉なものだが、帰る場所があるからこそ、だ。そんな彼女の心理を、なんとなく理解していた。
プレイが終わり、ベッドでくつろいでいるときに、今の彼氏の話を聞いた。愚痴半分、のろけ半分と言ったところか。
ホテルを出る際、彼女は一度だけ振り返り、かつてのように深々と一礼した。 駅へと消えていく彼女の背中は、もう「こちら側」の住人ではない、凛としたOLの姿に戻っていた。
おそらく彼女と会うのは、これが最後だ。 元気で、幸せに。かつて最高の逸材だった彼女へ贈る、最後の言葉だった。



